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2008年1月10日 (木)

ICU症候群【再】

10年ほど前、腰の椎間板ヘルニアがひどくなって、自分の勤務する病院で手術を受けました。

いまだに覚えているのは、点滴をつながれて全身麻酔をかけられるときに、筋弛緩剤を静脈注射されてから意識を失うまでの時間がとても長く感じたことです。
全身麻酔では手術を容易にするために筋弛緩剤を使いますが、そのとき呼吸筋も動かなくなります。(当然そのままでは「息をしたくても息ができない」ことになります)通常すぐに酸素投与をしながら麻酔薬を注射してゆくのですが、私の場合はその間の時間(おそらくは数秒なのでしょうが)がとても苦しく感じられ、「畜生この麻酔科医、目が覚めたら成敗してやる!」と恨みながら眠りに落ちたことを覚えています。

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さて、無事に手術がおわって、今度はICU(集中治療室)に一泊です。

ICUで私の目を覚ましたのは、「せんせ~っ、息してくださ~いっ!」という看護師さんの声でした。(そしてピタピタと叩かれた)おそらく麻酔薬が抜けきらず、息をするのをサボったので酸素飽和度が下がり、アラームが鳴ったのでしょう。それにしてもそのときは息をするのがどうしても面倒で、看護師さんたちにはご迷惑をおかけしました。

翌朝目が覚めると、ICUの白い壁が迫ってくるように感じて、今度はとても落ち着かない気持ちになりました。腰の手術直後なので寝返りが打てないという不自由さもありましたが、かなり不愉快な気分です。
胸には心電図モニター、指には酸素飽和度モニター、もちろんトイレに行けませんからおしっこの管(バルンカテーテル)も入っています。
「ああ、これがICU症候群なんだ」と思いながら、うっとおしい心電図のケーブルを「ぷちっ」とちぎっちゃいました。(怒られました)

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手術後や重症の患者さんはICUでの治療が必要になることがあります。多くの方に不眠、幻覚、妄想などの精神障害が生じ、ICU症候群と呼ばれます。点滴や医療装置につながれて身体的に拘束された状態が続く上、一定の照明と単調な機械音により睡眠が障害されたり、家族との面会が制限されることや時間の感覚がなくなることも原因です。なにより「ICUに入らなければいけないほど重症」であること自体が大変なストレスとなるのでしょう。

私の場合はたった一泊でしたが、それでもとても辛く、大変良い経験になりました。
「患者さんの身になって」というのは医療従事者が良く使う枕詞みたいなものですが、全身麻酔にせよICUにせよ、実際に経験してみないとその辛さはわからないものだと思い知りました。

今後も肝に銘じてゆきたいと思います。

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全身麻酔のための気管内挿管のチューブを抜いた後ののども、しばらくヒリヒリして辛かったなあ・・・。

【アンコールシリーズその2~原文は2006/10/27掲載、若干の修正をしています】

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